都市と地方にある“モチベーション”の格差……、幸せなのはどっち? 【IT評論家・尾原和啓】

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都市と地方にある“モチベーション”の格差……、幸せなのはどっち? 【IT評論家・尾原和啓】
 AIが人間を超えていく時代における幸福とは、何か? IT評論家・尾原和啓が、“地方の若者”を切り口に、あらゆる業界のプロフェッショナルをお迎えし、議論します。今回のお相手は予防医学研究者の石川善樹(いしかわ・よしき)さんです。 尾原: 初回なので、まずは、なぜ僕がこの対談連載を始めようと思ったか、何を目指しているかについて、お話しさせてください。実は9月末に、3作目となる拙著『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』(幻冬舎)を上梓したのですが、いただいた反響の中に気になる声がありまして、それが出発点となっています。

 本の内容を簡潔に説明しますと、まず仕事におけるモチベーションが、時代の変わり目の影響で、30代前後を境に変化している。例えば戦後、なにもない更地から作り上げてきた世代が、「あれが欲しい、これがしたい」とあらゆる欲望で“乾いている”のに比べ、若い世代は何でも揃っている時代に生まれ、すでに満たされてきたから、“乾けない”。だから上司に「目標を達成すれば美女と赤ワインで乾杯できるぞ」と煽られても響かず、「サイゼで友達と乾杯した方が楽しいや」という本音をなかなか言えずにいる。

 この食い違いを紐解きつつ、一方でAIによってあらゆる仕事がロボットに代替されていく時代で、若い世代の特性である“仕事にも意味合いを見出したい”という欲求や、“好きなことをとことん追求したい”という「偏愛」こそが、生き残る鍵になる。つまり変化の時代において、若い世代がいかに可能性に溢れているかを主に書いています。

 ただ、僕の元に届いた反響のなかに、「これはあくまで都市部の若者に向けた本ではないか?」という指摘があったんです。例えば地方では、実家に残った長男は家業を継がないといけない義務を背負っている一方、家業が時代についていけず、なくなるかもしれない閉塞感の中で、うつ病になったり、自殺したりするケースが増えている。これから5年くらいはそういうケースがますます増えるのではないか、という懸念もあるわけです。

 あるデザイナーの女性から、こんな話も聞きました。「うちの地元で一番モテるのは、トビ職や建築業、つまり肉体労働者なんですよ」と。理由はお金持ちだから。でも東京で働く彼女から見れば、肉体労働はAIによって真っ先にとって代わられる可能性の高い職業に見えるから、「都市部と地方で、価値観の断絶が起きているように見える」という。

 つまり、同じ若者でも、都市と地方ではずいぶん事情が違う。そこで、「AIが人の仕事を置き換えてくれるようになるから、みんな自分の偏愛やこだわりを追求して、それを仕事にして生きていくことだってできるよ」と提案しても、ピンときてもらえない。だけど、時代は確実に変化している。なら、地方の若者の幸せをどう考えるべきなのか、彼らのことをよく知るプロフェッショナルな方々と、議論していきたいと思ったんです。

「別にAIに仕事を奪われたって、そのうちベーシックインカムでなんとかなるじゃないか」という声もありますが、僕はベーシックインカム否定論者です。今だって、石油という“ほっといてもお金を産む存在”があるのに、それを等分にみんなに分ければ飢える人はいないはずなのに、結局人口の数%の人に、石油の富が集中している。

 ベーシックインカムの時代が来ても、これと全く同じことが起こると思うんです。例えばAIが次の石油として登場しても、AIの源泉となる学習データは、GoogleやAmazon、Facebook、Appleに独占されている。彼らが全員に富を分配してくれるようになるかは、今の時点ではまだわからない。

 そうなったとき、地方の若者たちは、AIによる時代の変化がもたらす恩恵を受けられないかもしれない。ならどういう風にしていくといいのか? 「人がよりよく生きること」について、多方面で研究を続けられており、最近も吉田尚記氏との共著『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(KADOKAWA)を出版された石川善樹さんに、この問いを投げかけてみたいと思いました。いかがでしょうか。




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