「すごい発見」だった発熱対策、OSバージョンアップの秘策 「AQUOS R」の裏側

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「すごい発見」だった発熱対策、OSバージョンアップの秘策 「AQUOS R」の裏側
 シャープの新しいフラグシップスマートフォン「AQUOS R」のインタビュー前編では、Rのコンセプト、デザイン、ディスプレイ、カメラについてお話を聞いた。後編では発熱対策、OSバージョンアップ、ロボクルについて聞く。

【2016年夏モデルとの発熱比較】

●「すごい発見」を経て完成した発熱対策

 パフォーマンスの改善で注目したいのが「発熱対策」だ。AQUOS Rでは、従来のスマートフォンAQUOSよりも、発熱しにくい作りになっている。何を変えたのか。

 まず、熱の広がりを抑えるために、内部にアルミニウム合金とグラファイトシートを採用した。さらに、伝熱層の間に空気層を置いて、一番熱くなる部分に熱が拡散しないよう工夫した。これによって熱を1点に集中させず、「全体がふんわり熱くなる」(IoT通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部長の小林繁氏)。

 下記の図は、1時間~2時間ほどYouTubeの動画を再生した状態での内部温度を、過去機種(2016年夏モデル)と比較したもの。表面温度は過去機種が41度だったが、AQUOS Rは36.1度で5度低かった。「5度というのは、温度の世界では劇的に違います。全く違うと言っても過言ではありません」(小林氏)

 もう1つが温度センサーの位置だ。例えばスマートフォンのカメラで長時間の動画を撮影すると、「端末の温度が上がったのでカメラを終了します」といったメッセージが出て強制的にカメラが終了した、また端末が熱くなるとパフォーマンスが落ちた……という経験がある人は多いだろう。これは内部の温度センサーが、「表面温度が高くなっている」と判断したためだ。

 しかし温度センサーは内部に搭載されており、外部との温度差があるため、実は正確に温度を測定できない。そのため、「もう少しパフォーマンスを出す余地があるのに、パフォーマンスを落としに行く」(小林氏)という事態になってしまう。本体の表面に温度センサーを置けるのがベストたが、現実的ではない。

 しかしシャープは、表面温度に限りなく近いポイントを基板上に見つけた。具体的には、右上のサイドキー近くにそのポイントがあったという。「すごい発見だった」と小林氏。内部のセンサーが、表面の温度をより正確に計測できるようになったので、余地を残した状態でパフォーマンスを下げる必要がなくなったわけだ。

●OSバージョンアップはAndroid One開発のノウハウも生きている

 AQUOS Rは、「2年間のOSバージョンアップを保証する」とシャープが宣言したことでも話題を集めた。

 「(OSバージョンアップは)最初に言わないと意味がありません。これまでは、くじ引きのように、本当にバージョンアップするかどうか分からない状態の中で、お客さんは機種を選ばれているので。シャープとしてはやる覚悟でいます」と小林氏は力強く語る。

 しかしAndroidはiPhoneのように何年もOSをバージョンアップできる機種は少なく、寿命が短い。2年間のバージョンアップは、Androidの中では長い方だが、どのように保証するのだろうか。

 IoT通信事業本部 パーソナル通信事業部 第一ソフト開発部 技師の佐々尾直樹氏は、「OSバージョンアップをするにも、2年先のことはよく分からないので、設計から0ベースで見直して大きくソフトウェアの構造を変えました」と説明する。

 その際、シャープがY!mobile向けに開発した「Android One」対応スマートフォン(507SH、S1、X1)で積んできた経験が生きたという。ただ、「設計変更だけでは2年のバージョンアップは難しい」と佐々尾氏。「現行OSと新しいOSのモデルを並行して開発しないといけませんが、湯水のようにリソースがあるわけではありません。いかにソフトウェアの可用性を上げるか。つまりプラットフォーム間をまたいでソースコードを共用するかがポイントです」(同氏)

 具体的には、OSバージョンに依存しないように、シャープがカスタマイズする場所を分けたという。「OSが変わっても、カスタマイズした場所が影響されにくいソフトウェア構造に変更することで、比較的簡単にバージョンアップできます」(佐々尾氏)

 それでも2年先のOSを予測するのは難しいようにも思えるが、「Googleのカンファレンスやディベロッパープレビューなどを見て、だいたいの傾向をつかんで設計しています」と佐々尾氏。

 また、OSバージョンアップをするには、一定のストレージとメモリが必要になるなど、ハードウェアに依存する部分もある。「Androidは、OSが上がるほどシステムサイズが肥大化しています。OSバージョンアップをしたくても、サイズがあふれてできないことが以前はあったので、ファイルサイズを小さくする検討もしてきました」(佐々尾氏)

 メーカーが着々と準備をしても、キャリアが販売するスマートフォンのOSバージョンアップを決定するのはキャリアだ。例えばキャリアのサービスやアプリが新しいOSに対応しないため、OSバージョンアップを中止するという“ちゃぶ台返し”をしないとも限らないが……。

 小林氏は「一般論として言えば、OSが変わるとエコシステムが変わるので、サービスも追従すべきだと思っています。あとはタイミングの問題です。そういう考え方で(Googleやキャリアと)協業させてもらっています」と話す。「Googleさんとのやりとりも、Android Oneを通してしっかりできているので、そこに関しての心配はほぼないと思っていただいていい」(小林氏)というだけに、キャリアも歩調を合わせてくれると願いたい。

●動く充電台「ロボクル」を採用した狙い

 シャープのスマートフォンといえば、AIを活用した音声エージェント「エモパー」も特徴だが、AQUOS Rでは、このエモパーをさらに便利に使える卓上ホルダ(充電台)「ロボクル」が用意される。ロボクルにAQUOS Rをセットして、着信やメールの受信があったとき、電話やアラームが鳴ったとき、新しい情報があるときに画面が点灯すると、ロボクルがくるっと回転。インカメラが見つけたユーザーに対して、エモパーがこれらの情報を話しかけてくれる。

 シャープはどのような狙いで、ロボクルの採用を決めたのか。

 小林氏は「モダリティ(話し手の表現)を出したかった」と話す。「これまでのエモパーは、言うなれば、置いたスマホがしゃべるだけでしたが、まばたきやうなずきなどがあると、本当に生きているように感じられます」と同氏。そこで、動きを加えられるロボクルの採用が決まった。

 ロボクルにはもう1つ、家でスマホに触れる時間を減らしたいという狙いもあるようだ。「スマホに着信があるので手に取ると、そのままSNSも見始めて、家でも長くスマホを触ることはありますよね。でも、ロボクルがぱっとユーザーを見て、スマホを手に取らなくて済むと、劇的に(生活が)変わると思うんです」と小林氏。スマホに触れる時間が減った分は、家族との会話や他の趣味に時間を使える。ロボクルには、ユーザーのライフスタイルを変える可能性も秘めているといえる。

 当初からエモパーの開発に携わってきた、IoT通信事業本部 IoTクラウド事業部 プロダクトソリューション開発部 技師の飯田義親氏は、「ロボクルが、ユーザーを向いて話しかけてくれるのは、大きな変化です。ユーザーに向き合って伝えることは、今までのスマホはできていなかったことです。向き合うことで、驚きや気付きを与えてくれます」と、ロボクルの新しさを話す。

 ロボクルのハードウェアの開発を担当した、IoT通信事業本部 パーソナル通信事業部 回路開発部 技師の三島啓太氏は、滑らかに回転させることが難しかったと話す。「それを克服するのに、モーターの選択、ギアのバランス、摩擦力の軽減などを工夫しました。摩擦が大きすぎて最初は回転音もうるさかったですし、モーターは小型にしないとならないという構造的な問題などもありました」(同氏)

 ロボクルは最大210度まで回転するほか、広角のインカメラを搭載しているので、例えばテレビ台に置くといった日常でのシーンなら、「どこにいても見つけてくれる」(小林氏)。

 なお、回転するための動力が必要になるため、ロボクルを利用するには充電をする必要がある。

 このロボクル、auとソフトバンクのAQUOS Rには付属するが、ドコモ版には付属せず、オプション品としての扱いもない。ドコモユーザーはがっかりだと思うが、シャープブランドで販売することを検討しているそうだ(auやソフトバンクから購入するという手もある)。

 AIを用いたサービスは続々と登場しているが、エモパーとロボクルの組み合わせは、ユーザーに新しい体験をもたらしてくれそうだ。

※これでインタビューは終わり……のはずでしたが、もう少し続きます。










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